Story



護るべきもの(仮)

 

☆はじめに。

ヤマト「(ある、夜のことだった。荒れ果てた荒野に、一人の少女がいた。)」

ヤマト「おい、そこのガキ。なにやってんだ?」

ミヤ「……座ってんだよ。見てわからないの?」

ヤマト「見りゃわかる。そうじゃねぇよ。なんでそんなとこにいるんだって聞いてんだ。あぶねえだろ?早くうちへ帰れ。」

ミヤ「…帰れない。」

ヤマト「…なに?帰れないって、お前、家は?」

(遠くから火の手とバイクの音。)

ミヤ「あのへん、火の手が上がってるからよく見えるでしょ?」

ヤマト「…親はどうした。」

ミヤ「あたしを逃がそうと飛び出していったきり。今頃切り刻まれてバーベーキューにでもなってんじゃない?」

ヤマト「…」

ミヤ「…盗賊だってさ、物騒な世の中になったもんだね。」

ヤマト「…。」

ヤマト「(何もない荒野に一人立つ少女。弱いものは死に、強いものだけが生き残っていくのがこの世界のルール。だが…俺はほっておくことができなかった。…思えばあれが、俺の運命を変えるきっかけだったのかもしれない…。)」

『護るべきもの』

☆バタバタと倒す主人公

ヒュウウウウ。

ブォンブォンブォン(バイク)

子分1「うぉおおおお。」

子分2「死ねえ!賞金稼ぎぃ!」

ヤマト「フン!」

キィン、ザシュ!

子分1「ぐああ。」

子分2「ぎええ…」

ドサッ!ドサッ

カチャ(銃の音)

子分3「このハエエナ野郎!よくも!」

カチャ、ダンダン(発砲)

子分3「う…。」

ドサ

ヤマト「おせえよ。構えたらさっさと撃ちな。」

子分4「つ、つええ…こいつ、化け物だ。」

ヤマト「おい、お前。」

子分4「ひ、ひいっ!」

ヤマト「ひい、じゃねぇ。返事は「はい」だろ?礼儀がなってねぇな。」

子分4「は、はひ」

ガサッ

ヤマト「おい。お前らのボスはこの男か?」

子分4「は?」

ヤマト「どうなんだって聞いてるんだ?」

子分4「ち、違う。」

ヤマト「あ?『違う』、だ?」

子分4「ちちち、違いますぅ!」

ヤマト「ちっ、また外れかよ。おーい、ミヤ!帰るぞ!…ミヤ!?」

ザッ。

ボス「っとお、動くな。動くと撃つぞ。…お前じゃなくてこのガキだがな。」

ミヤ「ヤマト…その、わるい。」

ヤマト「…あ?」

ミヤ「『ごめんなさい!』…だって、ヤマトがいけないんだぞ?人影を見つけるなりとっとと先いっちゃうんだもん。」

ヤマト「隠れてみてろっていっただろうが?約束まもれないないんなら次から連れていかねえぞ?」
ミヤ「な、なにをー!」

ガチャ

ボス「おっと、痴話喧嘩は後にしてもらおうか。…さて、よくも俺の部下をやってくれたな、どう落とし前をつけてくれるんだ?」

ヤマト「ってことは、お前がボスだな。」

ボス「おお、そうだぜ。何をかくそう俺こそが泣く子もだまる…」

ヤマト「おいミヤ。お前の探してるやつはこいつか?」

ミヤ「…違う。」

ヤマト「なんだよ、そっちも外れかよ。」

ガチャ

ボス「人の話聞けよ!!… なんでガキなんか連れてるか知らねぇがよ?お前、間抜けにもほどがあるぜ!?」

ヤマト「…おい、お前。」

ボス「…なんだ?」

ヤマト「ズボンのチャックが開いてるぞ?」

ボス「えっ?マジで?は、はずかちぃー」

タッ(踏み込み)

バキッ

ボス「ぐはぁ!」

ドサ

ヤマト「うそだよ。」

ボス「この!ひ、ひきょうだぞ。」

ガチャ

ヤマト「小娘を人質にとるのとどっちが卑怯なんだ?あ!?」

ボス「ひ、ひい」

ヤマト「さっさと失せろ、今度あったら 頭ふっとばすからな。」

ボス「ひぃいい、た、助けてくれぇ!」

ブォンブォン、ブロロロロー

ヤマト「…ふん。」

 

☆酒場にて

ガヤガヤ(居酒屋のガヤ)

BGM(ジャズ風)

サテライト放送が流れる。

ミヤ「だからさ、さっきから何度もわるいって、」

ヤマト「あ?」

ミヤ「『ごめんなさい』って言ってるでしょ?」

ヤマト「俺はあそこで隠れてろいったんだぞ。」

ミヤ「だって!…待ってるだけじゃ退屈なんだもん…。」

ヤマト「退屈…だ?こっちは命のやりとりしてんだぞ!?ただでさえ無理に連れてやってんだ、ちったあ大人しくしてろ!」

ミヤ「な、なにさ!偉そうに!」

コトン

マスター「おーおー、やってるねぇ。でも、こないだみたいにテーブルひっくり返すのは勘弁しておくれよ。…ハイよ、ミヤちゃん。」

ミヤ「あ、悪いね、マスター」

ヤマト「『悪いね』?」

ミヤ「ありがとう、マスターさん。」

マスター「ほっほ。…で、ヤマト。賞金首のほうはどうだった?」

ヤマト「あ?小物すぎて首とる気も起きなかった。リリースだよリリース。」

マスター「ほっほ、当たるもはっけ当たらぬもはっけさ。」

ヤマト「…最近はずれのほうが多くないか?…こちとら、ただえさえ役にたたないお荷物担いでるのに…商売上がったりだ。」

ミヤ「だから、前からあたしにも銃の使い方の教えてっていってるじゃない?」

ヤマト「無理だ。」

ミヤ「そんなのやってみないとわからないじゃない?」

ヤマト「その棒切れの二の腕をみりゃわかる。それにガキには10年早い。」

ミヤ「なにさ、いつもいつもガキ扱いしやがってー!」

ヤマト「そのガキみたいな言葉を使いするガキのどこがガキじゃないって?それに格好からして立派なガキだろうが?」

ミヤ「なにをー!?そっちこそぉ!いつも真っ黒な服着てー。熱くないのー!?」

ヤマト「これは俺のポリシーなんだよ。相手の冥福を祈って仕事するってな。それに俺が言ってるのは中身だよ、中身。ちんちくりん。」

ミヤ「(せいいっぱい色っぽく)あら、見てくれだけで判断するなんて器が小さいこと。あなた、このレディの良さがわからなくてかわいそうねぇ。」

ヤマト「…出るとこ出てないくせによく言うよ。」

ガタン

ミヤ「が!人の気にしてることを!もういいよ!いいよーだ。ヤマトのロクでなし人でなし甲斐性なしのオタンコナス………バーーーーカ!!!、べー!」

バタン

ヤマト「あいつ…意外とボキャブラリー少ないな…。」

マスター「ほっほ。いやいや、元気なことだ。」

ヤマト「マスター、今度はちゃんとテーブル抑えてといてやったぞ。…あいつめ、ひっくり返せないとわかったら、言うだけ言って出て行きやがった。」

マスター「ほっほ。…それにしてもおまえさん。レディに向かってあれはちと失礼じゃないか?」

ヤマト「…あれのどこがレディだよ。ったく、毎度毎度キャンキャン吠えやがって。こんなことなら拾うんじゃなかったぜ。仕事の邪魔だ。」

マスター「そうだな。…正直、お前さんにしては珍しいと思ったよ。孤独を好み、賞金首にしか興味がないお前さんが、まさか孤児をひろってくるなんて。うちの連中も、あの一匹狼が子連れ狼になったって驚いたものさ。」

ヤマト「…ふん。」

マスター「なぁ、前々から聞きたかったんだが。どうしてあの子を育てる気になったんだい?なにか思うところがあってのことか?」

ヤマト「…ほっとけなかったんだよ。」

マスター「…は?」

ヤマト「ああ、どうしてだろうな。どうしてあんなのを拾っちまったんだか?マスター、勘定たのむわ。」

 

☆アジトに逃げたボス

ブロロロ…

子分5「あっ、ボスが帰ってきたぞ!」

子分6「ほんとだ、でもなんで独りなんだ?おーい!ボスー!」

ブロロロ…

子分5「ボス!」

ボス「ひ、ひぃひぃ。…み、水をくれ!……ぐっぐっ、ぷはぁ!」

子分6「ボスっ!ボスどうしやした?いったいなにがあったんで?他の連中はどこに?」

ボス「…みんなやられちまったよ。」

子分6「え?」

ダン(叩く)

ボス「ち、ちくしょう!あの野郎!俺様をこけにしやがって!ただじゃおかねぇ!」

子分6「ボ、ボス?」

ボス「おい、通信機もってこい。ヤツを呼び出すぞ!それと手のあいてるやつ片っ端から呼んでこい!!」

 

☆夢

パチパチパチ(焚き火)

ヤマト(子)「父さん、父さんしっかりしてよ!」

親父「ヤマト…無事か?無事なら…うっ!」

ヤマト(子)「父さん、しっかりして!父さん!」

親父「っく。しくじっちまった。今回の仕事は無理を承知だったが…ザマあねえな…。」

ヤマト(子)「父さん!待ってて!今止血を」

親父「いや…もう無駄だ。こりゃ、たすからねぇ…。へっ、賞金稼ぎを長くやってるとよ。死に時ってものがわかってくるのさ。」

ヤマト(子)「いやだよ、そんなの嫌だよ!父さん、父さん!」

親父「ビービー泣くな!!男だろ!?」

ヤマト(子)「…。」

親父「…良い子だ。わかればいい。」

ヤマト(子)「…ねぇ、どうして僕を拾ったの?」

親父「…あ?」

ヤマト(子)「僕なんか拾わなければ…こんな無理しないですんだんだ。父さんは強いのに…独りでも生きていける人なのに。…どうして?」

親父「さぁな…どうしてだろうな。…ほっとけなかった…からかな?」

ヤマト(子)「…え?」

親父「ヤマトな?…俺はふと思ったんだよ。…力だけが強さじゃねぇ。力だけじゃ強くはなれねぇ。…だからお前を拾ったのさ。」

ヤマト(子)「…どういうこと?」

親父「おまえにもわかるさ…。一人前になったら…きっとな。」

ヤマト(子)「…。」

親父「…へ。半端ものの俺だったが…最後には人の役に…立てた…か…な。…ヤマト、お前はもう一人で生きていけるよな?…俺の分まで、ちゃんと生きろ…よ…。」

ヤマト(子)「…!?父さん、とおさーん!!!」

 

☆宿

パチパチパチ(焚き火)

ヤマト「…ん?」

ヤマト「…」

ヤマト「夢か…嫌なもんみちまったな。」

ヤマト「(親父は…腕利きで有名な賞金稼ぎだった。独りで動くことが好きで、どんな危険な仕事も独りでこなしてきた。賞金首はおろか、同業者すら震えあがるほどの最強の賞金稼ぎだった。…だが、ある日、親父は俺を拾った。砂しかないこの世界、二人分の食いぶちを稼ぐほど甘い世界じゃない。だから親父は無茶をした。…俺には未だにわからない…親父の言葉の意味が。)」

ヤマト「俺もまだ一人前じゃないってことかよ…。」

ガチャ

マスター「おおい!ヤマト大変だ!」

ヤマト「…なんだよ。人が気持ち良く寝てるってのによ。」

マスター「のんきに寝てる場合じゃないぞ!…って、おまえさん目が赤いな…どうした?」

ヤマト「…知るかよ。寝起きだからじゃないのか?っで、何が大変なんだよ?」

マスター「とと、そうだった。ヤマトこれを見てくれ!」

カサッ

ヤマト「……これは?」

マスター「うちのドアに挟んであったんだよ。お前さんが逃がしたやつの仕業だろ?」

ヤマト「…ミヤ。」

 

☆アジト

チャリチャリ(鎖の音)

子分5「…う」

子分6「で、でかい…」

子分5「あいつがボスのやとった用心棒か?」

子分6「ああ、なんでも『灰色熊のベルガ』って」

子分5「は、『灰色熊のベルガ』!?」

子分6「知ってるのか?」

子分5「知ってるなんてもんじゃねぇ!すげぇ有名な賞金稼ぎだよ。」

子分6「賞金稼ぎ!?」

子分5「ああ、賞金稼ぎっていってもな。金さえ払えばなんだってする極悪人さ。仕事のやり方も残酷でよ。素手で相手を殺したあと、気のすむまで殴り倒すんだとよ。まるで猛獣が餌を食うように。ひとたび暴れたら手がつけられない。それでついたあだ名が灰色熊っていう…。」

ベルガ「…おい。」

子分5「は、はひ!なんでしょうベルガさん!」

ベルガ「依頼主はどこだ?」

子分5「い、依頼主…ボ、ボスのことですかい?ボスなら今、地下の牢屋にいますが…。」

ベルガ「…いつまで待たせる?、早く喰わせろ。生きのいい人間の血を!肉を!!」

子分5「ひ。」

ベルガ「う…。」

子分5「う?」

ベルガ「うぉおおおお!!!!!うぉおおおおお!!!喰わせろ、早く喰わせろーーーー!!!血を!肉をーーーー!!」

子分5「ひぃいい、ボス、ボスゥ!はやくきてーー!(泣)」

 

(ボス、早く来てあげなよ…後編へ続く。)

 

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